不動産広告に「年間利回り7%」と表示されていても、その7%が手元に残るとは限りません。管理費、入居者がいない期間、賃貸の仲介や修繕費を差し引くと、実際の収益率は変わります。
ドバイで複数の物件を比べるなら、どの金額を分母・分子に使ったのかを揃える必要があります。以下では簡単な数字の例から、表面利回り(グロス)と実質利回り(ネット)を整理します。
1. 表面利回りと実質利回りの違いを理解する
表面利回りは一般に「年間想定家賃 ÷ 物件購入価格 × 100」で表します。広告を比べる最初の目安にはなりますが、維持費や購入時の諸費用は反映されません。年間家賃を常に満額受け取れるという前提にも注意が必要です。
実質利回りは、年間家賃から所有者が負担する運営費を差し引き、投下した資本に対する割合を求めます。分母を購入価格だけにするのか、登記費用や家具代を含む総投資額にするのかで数値が変わるため、計算方法を明記しましょう。
購入前の確認事項
- その利回りは表面・実質のどちらですか。
- 分母と分子に含めた費用を確認できますか。
2. 150万AEDの物件で試算する
仮の例として、購入価格が150万AED、年間の家賃収入が10万5千AEDなら、表面利回りは10万5千 ÷ 150万 = 7%です。これは説明のための数字であり、特定物件の現在の家賃や保証利回りではありません。
年間の管理・維持などの費用を2万1千AEDと想定すると、運営費控除後の収入は8万4千AEDとなり、購入価格を分母にした実質利回りは5.6%です。登記費や家具の初期投資を分母に追加すれば、その比率はさらに小さくなります。
購入前の確認事項
- 家賃収入と支出は実績ですか、それとも仮定ですか。
- 購入諸費用を含めた場合の利回りも計算しましたか。
3. 建物ごとのサービスチャージを調べる
同じエリアにあるマンションでも、共用設備や建物運営によってサービスチャージは異なります。ドバイ土地局のService Charge IndexとMollakの案内を利用し、対象建物、用途、年度に適用される承認済み費用を確認してください。
管理費の見積もりには、冷房関連費用、保険、マスターコミュニティの支出が含まれていないこともあります。費用の負担者と計算対象を明確にし、数字が古い場合には更新された資料を求めましょう。
購入前の確認事項
- 対象の棟と年度に合った管理費ですか。
- 冷房やその他の支出は別途必要ですか。
4. 空室期間・修繕・仲介手数料を織り込む
想定家賃が年間12か月分でも、常に入居者がいるとは限りません。募集期間、退去後の清掃・補修、仲介手数料、家具交換、保険、管理委託などは収益を減らします。物件によって負担する費目が異なるため、確認したものだけを記載してください。
住宅ローンを使う場合は、運営上の純収益と、実際の返済後に残るキャッシュフローを分けて計算します。借入金の元本返済と金利費用の扱いを明確にし、単純な物件利回りと自己資金に対するリターンを混同しないようにしましょう。
購入前の確認事項
- 1〜2か月空室になった場合も試算しましたか。
- 借入返済後の毎月の現金収支を確認しましたか。
5. 条件を揃えて複数物件を比較する
候補物件の比較では、購入価格、家賃の根拠、管理費、空室率の前提、修繕積立に相当する余裕資金、その他の費用を同じ表で評価します。賃借人の需要、交通、建物の状態、周辺の供給も数字と同じくらい重要です。
将来の家賃上昇や売却益は確定したものではありません。楽観的な予測だけでなく、賃料が低下し費用が増えたケースも試算しましょう。十分な根拠がない数値を埋めるより、未確認と明記して追加資料を集める方が安全です。
購入前の確認事項
- 同じ費用項目・同じ賃料前提で比較していますか。
- 収入減少のケースでも保有を続けられますか。
重要なポイント
- 表面利回りは維持費を差し引く前の比較指標です。
- 実質利回りでは所有者が負担する費用を考慮します。
- サービスチャージは建物ごとの公式資料で確認します。
- 空室、修繕、賃貸管理と住宅ローンを区別して試算します。
- 収益率は保証ではなく、前提条件次第で変わります。
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